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公家が描いたボタニカルアート? 

注意:記事をアップした後、加筆しましたので、末尾の追記まで必ずお読みください。

和の贈り物~その2に書いた
表紙の植物細密画が美しい和綴じノート
大・小2つのサイズのうち、携帯できる小さい方を選び、
一つはXマスプレゼントとして友人に、一つは自分用、一つはいつか誰かにプレゼントする機会があるかもしれないので予備にと合計3つ注文しました。ところが、在庫が2つしかないということで、
お店の方から、一つを表紙の柄の異なる同様の和綴じノート
にしていただければ、サービスでもう一冊お付けしますという提案を受けました。

ショック!! この↑花文の柄、私は好きではありません。

グラジオラスでなくちゃ嫌なんです。
そこで、足りない一冊をグラジオラス大に代えてもらえないかと頼んでみたところ(金額はグラジオラス大=花文の小)快諾していただけたので、それをイタリアに送ることにしました。到着した商品の包みを開けてみると、一冊おまけでくださったことがわかりました。良心的なお店ですね。

さて、初めて実物を手にし、目にしたとき、その繊細で美しい細密画にすっかり心を奪われてしまいました。グラジオラスの花は、銀色の彩色の上から臙脂色や紺色で細く花の輪郭や花脈を描いており、今まで展覧会などで見たことのある日本画、鮮やかな赤や群青、紫色などが目に焼き付くような作品とは異なる、一種独特な洗練された美しさがあります。
・参照日本画(google画像)

商品説明に、「江戸時代に描かれた」とありますが、不思議なことに私はこの絵からルネサンス期のフィレンツェをイメージしたのです。それは、ボッティチェリが描いた「ヴィーナスの誕生」などの色使いとの類似性を認めるからでしょうか。あるいは、細かく描かれた葉脈や花脈に、レオナルド・ダヴィンチが科学的な目で対象物を見たようなリアリティーの追及の片鱗を感じ取るからでしょうか。

植物細密画(ボタニカルアート)というと、真っ先に思い浮かべるのがルドゥーテ(参照過去の記事)が描いたバラ。まるで写真のごとく精密に描かれたルドゥーテのバラと比べてしまうと、和綴じノートの絵は、残念ながら絵以上でも以下でもない、美しく描かれたもの以外の何物でもないのですが、絵を連続させることによって、ノートの表紙から、雅な雰囲気が醸し出されています。

ここで、購入したノートをスキャナーで読み取った画像(縮小したもの)を載せておきましょう。
小さいサイズグラジオラス
大きいサイズグラジオラス大
注:縮小率は大小それぞれ異なります。

これだけ気に入ると、原画についての情報が欲しくなります。
購入したお店「ジオクラフト」の方にお尋ねしたところ、実に興味深い回答を頂きました。

五摂家の一つ近衞家の陽明文庫蔵『花木真寫(かぼくしんしゃ)』に描かれている植物画で、
和綴じノートは、日本最古のボタニカルアートと称されるその『花木真寫』の一部を転写して、近衞家とショップが共同で製作したオリジナル商品だとか。
絵の作者は、江戸前期~中期の公家 近衞家熈(このえ いえひろ/号:近衛豫楽院)。Wikipediaによると、右大臣や左大臣、さらに中御門天皇の摂政太政大臣まで務めました。
淡交社から「植物画の至宝 花木真寫」という本が出版されているので、実物を見ることができずとも、原画からプリントされた絵を観ることができるようです。

絵を描くことを専門職としていたわけではない、しかし国内の一級品を観ることも、所有することもできた高貴な方が趣味で描いた植物画。作者を知るまでは、その優雅さから、もしや、藩主の姫や皇女の持ち物で、名工が手がけた工芸品の図柄だったのではないか?日本版ルドゥーテが居たのでは?などと想像していたのですが、当たらずといえども遠からずでしたね。

そもそも、自分が本当に気に入るような和綴じノートを友人に贈ろうと考え、その最初の気持ちに忠実に、コレだと思えるものを探し求め、辿り着いた公家が描いたボタニカルアート。物との出会いって、本当に不思議で面白いものですね。
 ・参照「花木真寫」内容説明(淡交社)
 ・細密画関連記事この絵の名は「鳥の○○」~その2

[追記]前述の「植物画の至宝 花木真寫」を図書館で借りて、やっと本日(12月10日)目を通したところ、和綴じノートの植物画「グラジオラス」が載っていないどころか、写実性も彩色も、「花木真寫」の方が遥かに上、つまり、ノートの表紙画は「花木真寫」ではない可能性大です。事実関係をお店に問い合わせ中です。

[追記2]結論から言いますと、和綴じノートの植物画は、「花木真寫」ではありませんでした。近衛家の陽明文庫所蔵品であることには違いないのですが、
細密画ではなく、『黄地グラジオラス文金モール織
つまり、絵ではなく、織物だということです。どうりで写実性が劣るわけです。
近衞家熈が描いた正真正銘のボタニカルアート「花木真寫」は、ルドゥ-テの薔薇に匹敵する見事な植物細密画ですので、機会があれば、是非ご覧下さい。

[お詫び]
お店の方からの誤った情報を鵜呑みにして、この記事を書きましたが、実際に本を観て確認する前に書いてしまったことにより、近衞家熈さまの名誉を著しく傷つけるような内容になってしまい、申し訳ありませんでした。
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日記日記

コメント

よくあること

こういうことは起こりやすいですよね。
ネットによって、それが素早く訂正されたり、まことしやかに一瞬にして広まったり…
なかなか難しいです。
なんでも疑ってかかるわけにもいかないですし。
いずれにしても、お店はとても良い感じですね。
昔の物ほど、お洒落ですね。
最近の物は、マネッコしているだけでかえって土臭い感じです。

碧さん

お店の方の勘違いに加え、私の勇み足もあり、二度手間な記事になってしまいました。ただ、その勘違いがなければ、私は近衞家熈 なる人物についても、「花木真寫」の存在さえも知らずにいたでしょうから、自分にとっては、むしろラッキーに思えます。

正直なところ、日本画はまぁまぁ好きですが、和風のものよりはむしろ洋物に関心が強く、普段身に付けるものも、身の回りのものもほとんどが洋風で、ほんの少しアラビアン。ところが、今回は珍しく和綴じノートを自分のためにも購入。

買う決め手となった表紙の図柄ですが、基になっている織物は、国産品なのか外来品なのか、わからないです。「陽明文庫」の名品図録を観ればわかるようですが…。

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