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文は人なり、文は演技なり 

私はかねてより、著名な人物について、その来歴や人となり、とりわけ人を惹き付ける彼らの表現作品や功績の裏に隠された真実、そして表層には現れてこない人物の核となる部分を探り出したいがために、
自伝、伝記、評伝、聞書きなどを多く読んできました。そのうちの何冊かは、ブログでも紹介してきました。

今、私が大変興味を抱いている俳優が数年前に書いた本を読み進めています。

厳密に言うと、雑誌に連載された記事が単行本化されたものです。自伝ではありません。しかし、著者の内面を知る大きな手がかりとなりそうです。

この本の発掘(その存在を知らないまま探してみたら運よく発見)は、ちょっとした思い付きがきっかけでした。
読売新聞に「時代の証言者」という連載があって、ちょうど今、その俳優の父親が登場しており、波乱万丈の人生の中での数々の思い出や人々との出会いについて語っているところです。
そのことが頭にあったからか、amazonで何か良い本はないかと物色中、急に思いついたんです。この俳優(息子の方)の名前で検索してみよう!と。

すると、出てきました。
日本魅録香川照之 著、「日本魅録」。
旬な俳優ですよね。今年3月には、映画『劒岳 点の記』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞しています。

もちろん、この人の父親はご存知 
市川猿之助さん。ス-パー歌舞伎と言う新たなジャンルを生み出した歌舞伎界の異端児。
オペラの演出を手がけた経験もあり、そのことについては、以前、記事にしました。
 ・こちら2009年のお正月~その1

その香川照之という俳優を、実はかなり前から注目していました。でも当時は、その演技力からではなく、皆さんもそうでしょうが、父親が市川猿之助さん、母親が宝塚出身の有名女優 浜木綿子さんだということに加え、高校までが、あのお坊ちゃん学校 暁星、そして東大卒という金ぴかの経歴ゆえでありました。
いったい、どんな演技を見せてくれるのだろう?かなりの期待を持って出演ドラマを見たのですが…、当然の事ながら、俳優としての経験の足りないその青年は、とりたててどうこう言うほどでない、駆け出しの一介の俳優にすぎませんでした。

いつのまにか、覚えづらいその名前を忘れてしまいました。でも、顔だけは忘れずにいたのです。
その顔を2002年放送のNHKの大河ドラマ「利家とまつ」で見つけたとき、「出世したじゃない。」と、予想外の出演にちょっと嬉しくなりました。

同じ織田信長の家臣として、前田利家と家族ぐるみで親しくしている木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)の役でした。なかなかの適役。
後半、「適役」という言葉では、彼の演技を表現できなくなってきます。人間の暗部をさらけ出した、鬼気迫る演技、それはまさに怪演。圧倒されました。
そして、香川照之という名前を、しっかりと脳に刻み込みました。

さて、話を戻して件の「日本魅録」。これは、キネマ旬報誌上に2003年1月~2005年3月の期間 連載されていた香川照之著、撮影現場の裏話的エッセイを、2006年に文庫化したものです。amazonの商品詳細には、「映画撮影の現場を連続的に撮影したフィルモグラフィ」と紹介されていて、共演者やスタッフらと記念撮影した写真(白黒)も数多く掲載されています。
フィルモグラフィというと、履歴、記録というニュアンスが強いかと思いますが、
著者のスタンスは、愛すべき才能豊かな共演者や監督、カメラマンらの現場での姿を、尊敬の念を抱きながら暴露する。そして、過去の自分のベールを剥がし、白日の下にさらし、現在の自分の心の中に去来するものを吐露する。

紙面の多くは、撮影現場などでの出来事や人々の言動を描写することにさかれていますが、同時に、己:香川照之がそれをどのように感じ、どうとらえたかを詳細に報告し、さらに自分の生い立ちや過去の記憶の断片も挿入しているので、エッセイとは、まあそういうものなのでしょうが、形を変えた自伝を読んでいるように思えてくるのです。

そして、この俳優の文章には、小気味良いリズムがあり、

読んでいて、とても楽しいのです。

恐らく彼は、演じる時にもこのようにしているのです。
このようにとは、決して独りよがりにならず、自己満足することなく、見る人を楽しませたり、感動させるために己の姿をさらけ出し、一方で自分を客観的に見つめながら、絶妙な間をはかり、共演者と呼吸を合わせて表現しているのです。

登場する面々を少し紹介すると、「利家とまつ」で主人公 前田利家を演じた唐沢寿明を筆頭に、今をときめく個性派俳優たちに、吉永小百合などマドンナ的存在の女優達。
後年『劒岳 点の記』でメガホンを取ることになる木村大作監督のカメラマン時代の逸話をはじめ、くせのある監督達が度々登場します。
前著「中国魅録」で紹介した中国映画の監督らに関する話も所々に。

文章は2005年3月で終わっていますが、2010年に「龍馬伝」で岩崎弥太郎として登場するまでの約5年間、彼はどんな俳優や監督達と出会い、何を感じ、何を思い、俳優道を進んできたのか?もしかすると、役者たることに別の意義を見出しているのではなかろうか?続けて彼の文章を読んでみたくなりました。
あとがきを読んでみると2006年当時、まだ「キネマ旬報」の連載が続いていたようですよ。今も続いているのでしょうか?ご存知の方、教えてくださ~い!

[追記]前述の「日本魅録」の続きをまとめた新刊
日本魅録2」、発売日が決まりました。6月25日(金)です。
amazonで予約ができるようですよ。
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コメント

初めまして。

熱烈なる香川ファンです。

はい、現在もまだ連載は続いています。
今年度は再び読者賞にも輝き、ご本人が飽きない限りは、連載は続くものと思います。

ここ5年間は敬愛する監督との別れなどを経て、さらに内面的には成長されているように思います。さらに自分には厳しくなっていらっしゃるようですが。

元々は脚本家志望の青年が、DNAに組み込まれた役者という苗を、どのように育んでいき、開花の時期を迎えたか、そしてその苗を次世代にどう受け継いでいくのか、そう言った側面から見ていくにも最適なエッセイだと思いますので、一読者としても大きな楽しみで拝読しております。

今年夏に、加筆修正されて単行本化されると広告に出ていましたので、再読を楽しみにしています。

長々と失礼いたしました。

私も!

好きですねえ~何でも読み漁ります。
しかし、香川さんが物をお書きになるとは、それもなかなか素敵なタイトルですね!
ぜひとも続いていてもらいたいものですが、どうでしょうね。
私も彼の事は、どこか、気らっとしたものはあるけど、フツ~という印象。
ただ、不思議と、なさった役の事を忘れないで覚えているのです。
すごい人なのでしょう。

とまちゃん さん

まぁ!!!!
香川照之さんの連載は続いているのですか。そして、今夏、続きを単行本で読めるのですね!
コメントを下さって、情報を下さって、何とご親切な。感謝しております。本当にありがとうございました。

香川さんは、脚本家志望だったんですか、元々は。実は「日本魅録」、まだ読んでいる途中でして、ページをめくる毎に、人間 香川を学習しているところです。
この5年間で、様々な体験を通して、さらに内面的に成長をしているようですね。早く続きが読みたい。

逸る気持ちを抑えて、先ずは手元にある本をじっくり読み込んでいきたいと思います。

宜しければ、また遊びにお越しください。
本当にありがとうございました。

碧さん

出来ることなら、プライベート突撃取材や潜入捜査でもしてみたいところですが、それは無理なので(笑)、本で情報を集めます。

彼の文章は、大好きです。本文にも書きましたが、リズムがいいんです。描写も上手いし。実はこの本が到着してから2~3日後、全く別の人物が著名人の森林保養について書いた本が届いたんです。少し読み始めてみたのですが、香川's文章に慣れた私には、リズム感悪し、メリハリなしの文章に耐え切れず、すぐさまその本を投げ出してしまったほどです。

とまちゃんさんの情報によると、続きを今夏には読めるようですよ。これは絶対に買います。

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