スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
FC2 Blog Ranking

家を読む人~その4 

家を読む人~その1家を読む人~その2家を読む人~その3と続いた「家を読む人」。
今回で締めくくる予定です。

初見でモラヴィアの家同様に期待はずれだった
マルグリット・ユルスナール(Marguerite Yourcenar)の家。女友達グレースとの旅の途上で見つけ、一緒に住み、終の棲家となった米国北部、モン・デゼール島の一軒家。居心地は良さそうだけれど、美的な趣向を凝らしているという風ではない。しかし、写真を一枚一枚丁寧に見ていくと、"彼女"を感じさせる部分をいくつか見つけだすことができます。

所狭しと置かれた膨大な量の書物、本棚の上に置かれたいくつかのギリシャ・ローマ彫刻のレプリカ、そしてユルスナールの名を世に知らしめた
名著「ハドリアヌス帝の回想」を想起させるローマ皇帝ハドリアヌスと、その寵愛を受けたアンティノウスの彫像の写真が、書斎の壁に掛けられているのです。彼女が座っていた椅子の横に。

この家を見つけたのが1949年、そして「ハドリアヌス帝の回想(原題:Mémoires d'Hadrien)が出版されたのが1951年。引越し後まもなく、ユルスナールはヨーロッパから持ってきた荷物の中、銀器の間に、この作品の冒頭部分の下書きを見つけます。一人黙々と筆を進めていき、まさにこの場所で「ハドリアヌス帝の回想」を書き上げたのです。


ユルスナールのアメリカの家。「あっ、そういえば」と思い出し、一冊の本を引っ張り出してきました。
ユルスナールの靴須賀敦子著「ユルスナールの靴」。
このエッセイの最終章「小さな白い家」で、須賀さんは友人らと主亡きその家を訪れた際の出来事と、沸きあがってきた気持ちや思いを素直に綴っています。

「まだ家中にみなぎっているユルスナールの精神みたいなものに、こんなところまで入ってきているのをとがめられそうな気がして…」
「マルグリット(ユルスナール)に申し訳ないという思いが…」etc.

作家(須賀さん)が作家(ユルスナール)の家を訪れてから さらに時を経た今、
私が「作家の家~創作の現場を訪ねて」の写真を観ても、"ユルスナールの精神みたいなもの"を感じ取ることはできません。

それでも、ユルスナールが座っていた、あるいはタイプライターを打っていた、イメージを膨らませながら観ていた、そういう痕跡を観ていくうちに、作品からは窺い知れない日常生活の中の作家の姿、人物像が見えてくるように感じます。
FC2 Blog Ranking

最近読んだ本本・雑誌

コメント

むむ

なんとこのシリーズに、「うち」の誰もがコメントしていないなんて!と言うことにショックを受けたりして。
ただいま。
素敵な記事、保存版です。
いい本を見つけられましたね。私も手に取って見たいです。
作家の家や部屋と言うものは大変興味深いもので、その手の本はよく見ています。
この部屋からあの物語が!と思うと、後から後から、湧き出てくる感情があるものです。
そして、何もないシンプルな部屋の作家の部屋を見て失望とともに、後からやってくる、その人の想像力の奥深さを思います。
創造するのに邪魔なすべてを追い払ってしまったかのような、監獄のような部屋で、どんなことを、どんな風にイメージしたのか?勝手な創造が膨らみます。
ポーの家へ行ったことがありますが、とても『アッシャー家の崩壊』をイメージすることは出来ませんでした(笑)

aoiさん

お帰りなさい。こちらの寒さに驚かれたのでは?1月は暖かい日が多かったですから。

さて、
>素敵な記事、保存版です。
だなんて、大変嬉しいお言葉!
本のレビューって、コメントを入れ難いですし、碧さん以外の方は、登場する作家や内容に食指が動かなかったのかもしれません。家の写真は載せてないし、私の表現力にも問題ありそうですし…。

ポーの家ですか。作家が頭の中で、指を使って描いていった世界が、どのように生まれていったのかを、一枚の絵が描かれる工程を観ていくように目で捉えることができたら面白いでしょうね。その代わりに家、特に書斎を見たくなるのでしょうか。

この本、大きな本屋になら置いてありそうですので、どうぞ一度ご覧になってみて下さい。

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://siccomesiciliana.blog9.fc2.com/tb.php/631-b1bf911c

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。