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家を読む人~その3 

家を読む人~その1家を読む人~その2の続きです。

代表作「無関心な人びと」や、
映画化され、イタリア文学に馴染みの無い方でも題名だけは聞いたことがあるかもしれない「金曜日の別荘」などの作品で知られる
作家 アルベルト・モラヴィア(Alberto Moravia)の別荘。

ローマから南に1時間。ティレニア海に面し、チルチェーオ(Circeo)山が迫る<注意:本の中ではチルケオと表記されていましたが、チルチェーオもしくはチルチェオです>海辺の町。そこに建てられた、装飾を廃したシンプルすぎる家具やファブリックが置かれた別荘。ベッドと机が置かれた窓際の彼の仕事部屋は、まるで子供の勉強部屋。初めてその写真を観た時、軽い失望を覚えました。

それで読むのを後回しにしたのですが、前回書いたように、部屋がシンプルなのには理由があったのです。


モラヴィアはきっぱりと、こう言っています。
「過去には興味が無い。過去は私を悲しませるだけだ。思い出にも興味が無い。」

彼は、時代を経た古いものを好まなかったといいます。家という家が彼をうんざりさせ、人生で唯一愛着を抱かせた家が、この本で紹介された海辺の別荘だったそうです。

いったいどういう過去が、どういう思い出が、彼に苦痛を与えていたのだろう?過去に結びつく物を完全に閉め出した、そうせざる終えなくなった苦い思い出とはいったいなんだったのか?
この本だけではわかりません。ただ、略歴にあった幼少期に脊椎カリエスを病み、17歳まで学校に行かずに療養生活を送ったことや、第二次大戦中、ファシズム批判により本が発禁処分を受け、戦後は教皇庁により全作品が禁書リストに載せられたこと、
友人でこの地を同じように愛したパゾリーニの死が影響しているのかもしれません。

彼の仕事部屋、タイプライターの置かれた机の前には大きな窓。そこから見える海の先には、彼が愛し「自然が作り出した最も高貴な記念碑」と称えたアフリカが。
彼の思い出は家の中にではなく、窓の外に、そして彼の頭の中に広がっていたのですね。

     つづく

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