やっと手にした優雅なハリネズミ 

いったいどれだけの期間、待ったことでしょう?

死の床にある高名な料理評論家が、記憶の糸を辿らせていき、心の奥にしまってあった”あの味”を思い出すまでを描いていくというユニークな設定で、一気に読ませる小説
至福の味」(フランス最優秀料理小説賞 受賞)で、読者の私に至福の時を与えてくれた著者
優雅なハリネズミフランスの新鋭女流作家 ミュリエル・バルベリ(Muriel Barbery)。彼女の最新作「優雅なハリネズミ」が、フランスで話題になっているという記事を新聞紙上に見つけてから1年?あるいは2年?たちました。

日本語版が出版されるのを、今か今かと、私は首を長~くして待っていたんです。そして、遂に手にすることができました。
過去に何度となくamazonでチェックし、新刊をチェックし、日本の版元 早川書房のホームページを開くこともあったのに、最近チェックを怠っていたら、いつの間に、実際には10月9日に出版されていたんですね。先週の読売新聞、日曜版の書評欄で紹介されていたのを見つけました。しかも、日曜日にではなく、月曜になって、新聞を片付けようとした時に、ささっと目を通して紹介記事を発見。セーフ! 
書評欄を観ていなければ、未だに出版されたことを知らずにいたかもしれません。

さて、これだけ期待をしていたミュリエル・バルベリの新作、今回も一気に読んでしまいました。タイトルにハリネズミが出てきますが、舞台がパリとは言え、アニメ映画の「レミーのおいしいレストラン」のような話ではありません。パリの高級アパルトマンの女性管理人と、そこに住む12歳の多感な女の子が主人公。前作とは異なり、主人公の人物像に大変親近感を覚えました。

財産を持っているわけでも、高等教育を受けたわけでもない、しがない一介の管理人。しかも未亡人。実は彼女は、ロシア文学や哲学書を愛読し、美術や映画への造詣も深い教養ある女性。ところが、そのことをひた隠しにし、ブルジョアの住民達がステレオタイプの管理人として見てくれるよう、日々努力しています。

一方女の子は、頭が良すぎるため、家族を疎ましく思い、自分の将来を悲観しています。

同じ建物に住んでいながら、ほとんど言葉を交わしたことのない2人が、ひょんなことから心を通わせていく。でも、ただそれだけのハートフルなお話では終わりません。

随所に「日本の~」が登場し、日本人読者として、その部分も楽しめました。


読み終わって感じたのは、彼女の小説は、時間つぶしや気晴らしに読むという類の本ではないということです。読書する喜びが実感でき、その醍醐味を十分に味わい尽くせる。いわば、シェフお奨めのコース料理を、その味や盛り付け、彩り、匂いを楽しみながらじっくり味わっていくような、そんな小説です。
驚いたことに、ミュリエル・バルベリは、現在 京都にお住まいで、次回作は、京都が舞台だとか。出版されるのが待ち遠しいです。今度は何年待つのかなぁ?
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コメント

わ~

ハリネズミ大好きなんです!
そして、料理!
私も読んでみたいです。
おまけに作家は今京都!
は~これはこれは!
な~んと興味深い。

碧さん

ハリネズミは…。これは、読んでのお楽しみ。
料理に関しては、新作の方では料理はほとんど登場しません。

>アニメ映画の「レミーのおいしいレストラン」のような話ではありません。

のフレーズに加え、この小説をシェフお奨めのコース料理に例えたりと、紛らわしい説明で、勘違いされても無理ありませんね。ただ、後半で、日本料理は出てきますよ。

いえいえ

私の書き方がわるかったのです。
「小道具」としてのハリネズミ、料理、異国から見た日本…
全てのキーワードが読む気にさせると!

碧さん

勘違いされていると、勘違いしてました。失礼しました(笑)。

著者は日本好きが高じて京都に住むほどですから、日本文化賛美的な内容になっています。

ハリネズミ!

ここ数年、本自体のチェックを怠っていたため、この本のことを全く知らなかったのですが、今まで読んでいないなんて、私、損していましたね(笑)
オルサさんが書かれた要約だけでも、かなり「その気」にさせられます。そして、彩りや匂いを感じられる文章、大好きです。小説や物語を読む時って、内容そのものも勿論ですが、細かい描写が如何に丁寧に描かれているかといった点も、忘れられない本になるかどうかの分かれ目ですよね。
ところでハリネズミ。「本を読んでからのお楽しみ」とのことですが、実はある国のジプシーがハリネズミを食すらしいのです。こういったわけで、ますますタイトルに興味を引かれたのでした。

mitraさん

>ある国のジプシーがハリネズミを食すらしいのです

ギャー!ですね。そういえば、かつて海外のゲテモノ料理を紹介する番組で、ネズミのようなものをタレントが食べるシーンを見たような記憶が…。想像するだけでぞっとしますが、案外私たち日本人も、他国の人にとってはギャー!なものを食べているかもしれませんね。タコを気持ち悪く思う人もいるようですし。

私が好きな本は、mitraさんも触れられているように、細かい描写が自分の感覚にピタッとくるものですね。翻訳本の場合、翻訳者の手腕も問われるところですが、作者がイメージしたもの、登場人物への愛情などが、言葉から溢れている文章が好きです。

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