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二人のドキュメンタリーと2冊の本~その2 

前回の二人のドキュメンタリーと2冊の本~その1で、
9月に放送されるエディット・ピアフ(Édith Piaf)とルキノ・ヴィスコンティ(Luchino Visconti)、それぞれのドキュメンタリー番組を紹介しましたが、この二人の名前を見て思い出したのが、以前読んだ2冊の本でした。

一冊は、出版されている唯一無二のこの人の小説、「アンジェロの朝」。
この人とは?そうです。ルキノ・ヴィスコンティ。

13年前の事。青山ブックセンターの外国文学コーナーで偶然みつけたのです。背表紙に書かれた著者名を見て、手に取ってみました。
「ルキノ・ヴィスコンティの書いた戯曲かな?」

いえいえ、違いました。本の表紙を見て、驚きました。
帯にこう書かれていたのです。

アンジェロの朝ルキノ・ヴィスコンティによる未完の小説

この小説は、ヴィスコンティの遺品の中から発見された未発表の作品で、1993年にイタリア語版「Angelo」、さらにフランス語訳版「Le Roman d'Angelo」が相次いで出版され、その2冊を基に1995年、日本で出版されました。
タイプ打ちの原稿には年月日の記載が無く、制作年を特定することはできないようです。手書きのメモや、他の短編小説の原稿、初期の映画作品とのテイストの共通性などと照らし合わせると、恐らく1930~1937頃に書かれたものだろうと考えられているようです。
つまり、1906年生まれの彼が、24歳~31歳頃の作品となります。これは本格的に映画の世界に身を投じる前、英国やフランス、さらにチュニジアなどに旅行にでかけたり、趣味で短編映画を撮り始めた時期と重なります。
 ・参照ルキノ・ヴィスコンティ(Wikipedia)

さて、その中身ですが、小説の冒頭。主人公アンジェロが乗る馬車が走るシーンから始まります。その描写を読んでいると、映画のシーンが見えてくるのです。寒空の下、田舎町を走る馬車。女性と少年が、どこかに向かおうとしている。馬車から見えるのは寂しげな風景…。
その馬車が目的地に着くまでの間、回想シーンが挿入されます。それはまさに映画のフラッシュバックの手法。その中で、この主人公の家庭環境、家族の性格付けがされていき、そして何故今、馬車に乗り、どこに向かっていくかが説明されます。それを読んでいく私は、「映画を読んでいる」と感じるのです。

映画を見るとき、ナレーションによる説明でもなければ、その登場人物が何者で、その隣に居る人物とはどういう関係で、何をしようとしているのか?それを台詞や態度、さらに衣装や部屋の様子など目から入ってくる情報(映像)から読み取るわけですが、それに極めて近い形でストーリーが語られていくのです。ヴィスコンティの緻密な描写によって、文字が映像にとって変わるのです。

未完のこの小説は、主人公が様々な人物と出遭い、これから何かが起きそうだというところで、残念ながら終わってしまっています。ただし、ストーリーのラストは、解説の中で紹介されています。ヴィスコンティのノートに、小説のラストシーンと思われる文章が残っていたのです。

書かれなかった部分を埋めることができるのは、自分の想像力だけ。
もしかして、ヴィスコンティの映画の中に、彼が書いていたかもしれない展開のヒントとなるものが隠されているかもしれません。


さて、私が思い出したもう一冊は…

     つづく
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読んだ本。本・雑誌

コメント

読んで見たい

ヴィスコンティの小説、読んで見たいです。オルサさんの説明を聞いただけで、映画のシーンが浮かんできそう。

ぶーけさん

彼の小説は一冊しか世に出ていないということで、正直な所、中身を良く読みもしないで購入してしまったのですが、読んでみて、映画を見ただけでは知りえない、ヴィスコンティの一面に少し触れられた気がします。

彼は、この作品を完結できず、映画化もしていないわけですが、生前のインタビューで、この作品に触れたことは何度かあったようですよ。

「映画を読んでいる」。
なるほど~。このオルサさんの言葉で、この一冊に大変興味が沸きました。
最近の映画はなんでも説明しなくてはウケないのか、想像の余地が減っている作品が増えている気がします。

素敵な本と出合えましたね!
機会があればぜひ読んでみたいと思います!

Carolitaさん

>最近の映画はなんでも説明しなくてはウケないのか、想像の余地が減っている作品が増えている気がします。

言われてみれば、その傾向があるような気がします。その点この小説は、自分の想像力によって映画化(映像化)していく作業が楽しめます。
こういうものを読んでみると、「では、かれは脚本を、どんな風に書いていたのだろう? 台本には、どんな書き込みがあったのだろう?」ということが気になってきます。

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