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サヴァラン好き~その1 

今、私を夢中にさせているのは…


森茉莉(もり まり)のエッセイです。
森茉莉とは、そう、森鴎外の長女にして、作家のあの森茉莉です。


数日前、本屋で面白い本が無いものかと物色していたところ、目に飛び込んできたのが
貧乏サヴァラン」というエッセイ集のタイトル。

貧乏サヴァラン今となっては不思議としか言いようがないのですが、今まで、何かの機会に彼女のエッセイの一部を読んだ記憶はあるものの、本を読んでみたことが一度もなかったのです。出合わなかった。
ですから、今回も、著者名「森茉莉」ではなく、タイトルの「サヴァラン」の方に反応して手にとってみたわけです。

稀代の美食家として知られ、著書「美味礼賛」で、味覚の生理学や食材と料理の関係性を説いたフランスのブリア・サヴァラン(Jean Anthelme Brillat-Savarin)<1755~1826>。タイトルにある「サヴァラン」は、ブリア・サヴァランのことで、その人の様に料理を五感で堪能する食いしん坊だけれども、料理のためには金に糸目はつけず~というわけにはいかない貧乏な自分、ということで「貧乏サヴァラン」となるのです。しかし、貧乏とはかなりの謙遜で、何でも上等なものを好んだという父 鴎外の寵愛を一身に受けて育ち、好きな刺身が平目、子供時代(明治時代)の好物がシュークリーム、さらに、後に離婚した最初の夫 山田珠樹(貿易商の息子で仏文学者)の留学に同行したパリ時代には、クリスマスにシャトー・ラフィット(ボルドーの五大シャトーの一つ)を飲んだとなれば、当時の一般庶民の食生活とはかけはなれた、まさに美味礼讃の日々を過ごしてきた御仁。

しかし、2度の離婚を経て実家に戻ったものの、父はすでに亡くなっており、当時は印税の保護期間が現在よりも短く、著作者の死後30年間だったため、すぐに収入源を絶たれた茉莉と母親は、着物や本などを売ってなんとか食いつないだようです。
その後、やむにやまれず文筆業を始め、
54歳の時に書いたエッセイ集「父の帽子」で日本エッセイストクラブ賞を受賞し、世間に認められるようになったのです。

さて、その森茉莉のエッセイのどの部分が、私をそう夢中にさせるのか?

それは、軽妙な語り口と、ざっくばらんなところ。そして、いつまでもお嬢ちゃんのように夢見がちな傾向があり、時々白昼夢を見ているように現実をしばし忘れ、もう一つの世界の住人になってしまうところ。小説を一つ仕上げるのにとても時間がかかって、
甘い蜜の部屋」なぞ10年もかかったそうですが、エッセイの方は水が流れるような流麗な文章で、まるで、本人が目の前に居て、おしゃべりをしているよう。下手な作為や意図をまるで感じさせません。

買い物に出かけたものの、夜中に飲むアイスティーに入れる氷を買い忘れ…という話では、アイスティーのおいしい入れ方を披露した後、それをしないとハバナの薫香か、ナポレオン・ブランディーの香気かという香りを発しないと語り、書いているうちに英国紅茶の高貴な香りを思い出したのか、自分が、「アラビアのロレンス」を演じた英国俳優ピーター・オトゥールのようになってくると続け、そのピーター・オトゥールに毎日幻の薔薇の花束を送っていて、その薔薇は団子坂のどこそこにある薔薇園の薔薇で…。夢が夢を、幻が幻を呼んで話がどんどん脱線していき…と思いきや何時の間にか現実の買い物の話に戻ってくる。

夏目漱石が、好きなジャムをよく嘗めていたように、自分はコンデンスミルクをよく嘗めるという話、父 鴎外の意外な好物(葬式饅頭を切ってご飯の上に載せ…)、母の思い出、パリでの食事、食べ物に関する一家言、一日のメニュー、さらに、この本は、筑摩書房の編集者が、全集の中から作品を選び出し編集したものなので、三島由紀夫にあてた手紙や、忙しさにかまけ、気がついたら誕生日を過ぎてしまった友人にあてた手紙なども収録。

物に対するこだわりや感覚が、非常に現代的で、しばしば「自分に似てる」と思わせる(編集者の女性もそう思ったそうです)森茉莉の世界にどっぷり漬かる楽しさを知ってしまった私は、この本をまだ半分も読んでいないのに、早くも他の本を買ってしまいました。

さぁ、どのエッセイでしょう? おわかりですか?
 ・参照森茉莉の関連本
 
 ・関連記事森鴎外と娘たち展
      詩と映画からアート
      読み応え十分の捜索ドキュメント

           つづく
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コメント

大福

私は美味しい大福が食べられたらうれしいです。
お汁粉も好き!もうケーキはいらないです。
森茉莉あぁ、、読んだことがありませんでした。情報をありがとうございます。

森鴎外に娘さんが居たのも物書きさんとも知りませんでした。

森鴎外は自分の息子にマックスって名前をつけたって「へぇ~」のTVでやっていました。

またまた

オルサさ~ん
私、森茉莉の大ファンなのです。
もう、彼女が亡くなった瞬間もわかったぐらい…
「あ~逝ってしまった」という、なんともいえない妙な感覚を得たのです。
死後すぐに発見させなかったのですが、死亡推定時刻と、その妙な胸騒ぎが同じ頃だったのです。
『贅沢貧乏』『ドッキリチャンネル』『恋人たちの森』…ああ、どれかしら!
楽しみにしています。
どうしましょう!嬉しい!オルサさん、困った人ですね!(笑)

あがぴょんさん

ギリシャでは、あがぴょんさんがお好きだという大福やお汁粉、なかなか食べられないですよね?食べられないとなると、食べたいという気持ちが募るのでしょうね。

森茉莉は、あの時代の人にしては珍しく、子供の頃から洋食、洋菓子に慣れ親しんでいたようです。父親の鴎外がドイツ留学経験者ですから、ドイツ風の料理も家でしばしば食べたようですよ。

ニキータ さん

真章(マックス)は、茉莉の腹違いの兄の子、つまり鴎外の孫のようですよ。マックスに限らず、鴎外は、孫たちに外国でも通用する名前を付けたようです。茉莉の長男も· 爵(じゃく=ジャック)ですから。

碧さん

お~!赤毛のアンや美しいローレットに続いて、森茉莉も碧さんのお気に入りでしたか。しかも、碧さんの方が常に先んじていて、傾倒の度合いも強い。

これだけ、好みの本が一致する方とは、初めてお逢いします。といっても面識ないですけど(笑)。

赤毛のアンも美しいローレットも、森茉莉ワールドに極めて近いお話と言えなくもない。きっと茉莉さんも碧さんも私も、森茉莉ワールドの住人なんでしょうね。

オルサさん、こんばんわ!
森鴎外の娘さん、初めて知りました。面白そうな本ですね。といいつつ、私は全く「食」には疎いんですよね(苦)でも、
>ピーター・オトゥールのようになってくる・・
には興味津々。今度本屋さんに行ったら、ちょっと探してみます^^

ケトルさん

私も、グルメなんかではないのですが、この食材はこうやって食べるのが一番美味しいとか、変なこだわりがあるんです。単なる好き嫌いなんですけどね。

記事の中では省いちゃいましたけど、森茉莉さんは、シャルル・アズナヴールにも同様に幻の薔薇の花束を送っていたそうです。

そうでしたか。

長男だっけ?次男だっけ?って考えていたけど、”孫”と聞いてすっきりしました。

ありがとうございます。

娘さんも”マリー”ってつけられているようなもんですね。

ニキータ さん

私は、もっと見当違いな思い込みをしていました。森鴎外の作品「舞姫」のモデルとなっているドイツ人女性との間に生まれた子供が茉莉(外人のような名前だから)なのかと。鴎外は2度結婚しましたが、どちらも日本女性との結婚です。

関係ありませんが、先日東京大空襲を題材にしたドラマがやっていて、そこに証言者として出てきた80歳代のおばあさんが、十六 と書いて「トム」と言う名でした。

外国を意識してつけたり受け狙いの名前ではないのでしょうが、自分には<時代を考えたら>しゃれた感じに聞こえてしまいました。

十四で”としさん”とか十三で”とみさん”とかも有りそうですね。

ニキータさん

私もそのドラマを見ましたよ。ところが、十六さんのお名前、言われてみればそうだったような…と思う程度で、すっかり忘れていましたし、その名前から何かを想像することもありませんでした。
同じ番組を見ていても、人によって記憶している内容や気になった部分が異なって、面白いですね。

森鴎外の娘さんも本を書いていたとは知りませんでした。
あの時代でシュークリームとは羨ましい話ですね。

>「葬式饅頭を切ってご飯の上に載せ…」

えっ、ご飯なんですか。甘党の私でもできません^^; びっくりですね。

オルサさんが選んだ次の本、タイトルをざっと見た限りでは…「薔薇」のつくもの?わかりません~

あつこさん

森鴎外の意外な好物、葬式饅頭を切ってご飯の上に載せ、さらに煎茶をかけてお茶漬けにするそうです。イメージするだけでも、気持ち悪い食べ方です。

次に買った本は、「その2」でお教えします。

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