ルネサンスの金細工~その2 

前回ご紹介した、ルネサンスの天才的金細工師 
ベンヴェヌート・チェッリーニ(Benvenuto Cellini)が、フランスのフランソワ1世のために作った食卓用塩(胡椒)入れ、サリエラ。
 ・参照ルネサンスの金細工~その1

このベンヴェヌート・チェッリーニは、自叙伝を残しているというではありませんか。いったいどんな人物なのか?その人となりは?その人が書いた文章や作品を制作する舞台裏なども知りたくなってきます。調べてみると、ありました、自叙伝。
チェッリーニ自伝~フィレンツェ彫金師一代記(上下巻)」

さっそく購入して読み始めていますが、本の内容を紹介する前に、チェッリーニについて少し説明を。

Cellini_Portrait.jpg1500年、ルネサンスの花咲くフィレンツェで、技師で楽器製作も手がけ、演奏家でもあったジョバンニ・チェッリーニの長男として生まれました。名前ベンヴェヌート(Benvenuto)とは、イタリア語で「いらっしゃい、よく来ました」という意味ですが、これは、結婚後なかなか子宝に恵まれなかった両親が女の子を授かった2年後、次の子も女の子に違いないと思っていた子供が産まれてみると、予想に反して男の子であったため、非常に喜んだ父ジョバンニが、神に感謝しながら「ベンヴェヌート、ベンヴェヌート」と繰り返し、人に、子供の名は?と問われても、ただただ「ベンヴェヌート」と繰り返すばかり。結局その「ベンヴェヌート」をそのまま名前にしてしまったとか。

前回ご紹介したサリエラ(塩入れ)は非常にみごとな金細工ですので、他の作品も見てみたくなりますよね。ところが、金細工はこれ以外の作品が現存していないようです。そのほかの代表作は、コジモ・デ・メディチのブロンズ胸像、やはりブロンズのペルセウス像(手に持っているのはメデューサの頭部)など。
 ・参照作品画像(WEB GALLERY of ART)

Wikipedia日本版によると、チェッリーニは58歳の時に、この自叙伝を書き始め、書き上げた後出版されること無く死後百数十年の時を経て、18世紀になって草稿が発見され、1728年にやっと公刊されたとか。40年後に再刊された版でフランス人にもこの自叙伝が知られるようになり、ルソーやスタンダールに熱烈に支持され、ベルリオーズ(Hector Berlioz)はオペラ「ベンヴェヌート・チェッリーニ」を作曲
 ・こちらオペラ「ベンヴェヌート・チェッリーニ」演奏(YouTube)
     オペラ「ベンヴェヌート・チェッリーニ」内容(Opera Database)
 ・参照ベンヴェヌート・チェッリーニ(Wikipedia)

さて、その自叙伝ですが、冒頭、こんな文章から始まります。

「苦しみに充ちたこの私の<生涯>を書き記す…」

確かに、彼の天職 彫金師になるのにも、父親の反対を受け、簡単には始められなかったようですし、周りのひがみから、トラブルに巻き込まれたことも。しかし、そこに、悲観的な「苦しみ」を感じ取れません。
最初、自分で書き始めた自叙伝を、途中から弟子が口述筆記するようになったそうで、事の顛末の語りが、何となくお酒の席で聞くおじさんの武勇伝といった感じなのです。それだけ臨場感があって、親近感も覚え、なかなか楽しく読める本です。

最近、自叙伝を自主出版される方が多いそうですが、彼は、出版はしなかったものの、その先駆けのようなものなのでしょうか?一職人では満足できず、自分の存在を世に知らしめたい、自分史を残しておきたいという熱情を持ったルネサンス人。バイタリティー溢れる人物であったことは、容易に想像できます。もし彼が今のイタリアに生きていたら、どんなパフォーマンスを見せてくれるのやら?
 ・関連記事ヴェネツィアに3度目の恋

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コメント

職人技

>となくお酒の席で聞くおじさんの武勇伝・・・・
輝かしいルネサンス期の天才にして、オッサン的な人間味があるのは、なんだかクスッと微笑ましいですね。

BLOGリンクさせて頂きました。(私BLOG内で紹介しても良いですか?)これからもオルサさん記事楽しみにしています!

ケトルさん

ルネサンス期の天才といえども、かなり血気盛んで、様々なトラブルに自ら飛び込んでしまうんですよ、この方。
読む側としては、それが面白い。

リンクの件、ありがとうございます。どうぞどうぞ、BLOG内でご紹介下さいませ。

こちらこそ、どうぞ宜しくお願いいたします。

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