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装丁に魅せられて 

4152085770.09._PE0_SCMZZZZZZZ_.jpg本の顔ともいうべき装丁。私は、その装丁に大変興味があり、本屋でその美しさに惹かれて本を手に取るということがしばしばあります。もちろん中身が重要なのですが、タイトルから中身を推し量るにはあまりに情報不足で、本の装丁を見ることで、中身のセンスを推し量り、中のページをぺらぺらめくり、自分が期待したとおりの本であった、ということが度々ありました。

こちらの本は、そんな風にして買ったアンドレア・ディ・ロビラント(Andrea di Robilant)著「ヴェネツィアの恋文」(早川書房)。古い館の屋根裏部屋から実際に発見された恋文の束から蘇らせた、18世紀のヴェネツィアを舞台にした秘められた大恋愛。これは小説風ではありますが、あくまでもノンフィクションです。

この本の装丁は、私の好きな装丁家の一人柳川貴代さんが手がけたもので、絵は、これまた私が敬愛する18世紀に活躍したジョヴァンニ・バティスタ・ティエポロ(Giovanni Battista Tiepolo)の息子 ジョヴァンニ・ドメニコ(Givanni Domenico Tiepolo)のものが使われています。
 ・参照柳川貴代さんのプロフィール&作品
 ・参照父ジョヴァンニ・バティスタ・ティエポロの作品

ところで、装丁の定義ですが、ウィキペディア百科事典によると「本をまとめて綴じる作業を指し、一般的な書籍の場合、カバー、表紙、見返し、扉、帯、外箱のある本は外箱のデザインなど一連の作業を装訂と呼ぶ。そして、装訂を担当する専門家のことを装訂家(装丁家)と呼ぶ。また、装訂と本文のデザインなどを含めた図書設計を行う専門家のことを、図書設計家と括る場合もある。」
※装訂、 装幀あるいは装釘とも表記しますが、現在は一般的に装丁と表記されます。

日本においては、デザインの部分のみに装丁という言葉を使っているわけですが、出版物のデザインに関する仕事をしている人々の団体、日本図書設計家協会というものが組織されています。オフィシャルサイトもありますので、ご覧になってください。
 ・こちら日本図書設計家協会HP

さて、先ほど装丁の定義の中で、「本をまとめて綴じる作業を指す」とありましたが、本来の装丁を本場フランスで学び、プロとして活躍されている日本人女性がいます。
清宮伸子さん。装丁の関連本を本屋で探していて、偶然、彼女が書き下ろした本と出逢いました。
30698223.jpg
「ロワールの贈り物~ルリュールとの出逢い」(沖積舎)。

彼女がフランス留学中に、運命に導かれるように出会った装丁の世界。現地の工房や専門の学校で本格的に技術を学び、遂にはプロの装丁家になるまでを綴ったエッセイで、様々な人たちとの出会い、交流。そして四季を楽しみ、料理を楽しみながら過ごした各町での生活ぶりが活き活きと語られていて、読むに従い、どんどん引き込まれていきます。

タイトルに使われているルリュールという言葉。ルリュール(relieur)とは、フランス語で、手作りの製本・装丁という意味です。すでに本の体裁をなすものを一度ばらばらにして、糸でかがり直し、皮に豪華な装飾を施した表紙をつけて作り直すことです。なぜ作り直す必要があったかというと、かつてのヨーロッパでは印刷と装丁が分業になっていました。印刷屋は大きな紙に何ページ分かを刷り、1ページのサイズにまで折って仮綴じをするというところまでを行います。本屋ではこの状態で本が売られていました。その本を買った者が、ルリュールの店に持っていき、自分の好みで装丁してもらい、やっと本が出来上がるわけです。ルリュールに要す日数は1ヶ月、2ケ月、ものによっては半年、1年以上もかかる場合があります。本をばらしてかがり直し、最後に革や紙で本をくるむまで、その工程は60以上にも及ぶのです
装丁は、1ページずつが切り離されていない、紙を折った状態で行われるため、できあがった本を手にした本の持ち主は、ペーパーナイフでページを切り離しながら読まなければなりませんでした。ペーパーナイフとは、そもそもその目的で作られたものだそうです

ルリュールの歴史はパピルスに代わって羊皮紙を使い始めた3世紀にさかのぼります。カトリック教会の発展とともに豪華絢爛な装飾を施した福音書の写本が盛んに作られるようになり、その後グーテンベルクの活版印刷術の発明によって、紙製の本の大量印刷が可能となり、ルリュールの需要も増大。王侯貴族、一部の富裕商人のあいだで美しい本を持つことが流行し、知性や教養、財力や社会的地位を誇示するために、サロンの書棚を美しい革張りの本でいっぱいにする風習が生まれました
今や一流の製本・装丁家の作品は、絵画や宝石、家具などと同様に美術工芸品としてオークションで売買されます

ヨーロッパには今でも、ルリュール工房があり、大切な本は 職人の手で修復・製本・装丁を施され、『世界に一冊しかない本』として、代々、親から子へ、子から孫へと受け継いでゆくという伝統が残っているそうです。また、古本屋で見つけた好みの作家の本を買って、馴染みのルリュールの店で自分だけの特注の装丁をしてもらうなんてこともあるそうで、なんと贅沢な、そして粋な文化。今度フランスに行った折には、そんなことをしてみたいなぁ。しかしルリュールを注文するのにいくらかかるのかしら?それが問題だ。
 ・参照清宮伸子さん作品とプロフィール
 ・参照清宮伸子さんの仕事振りを紹介するリポート
 ・参照その他、清宮伸子さん関連

 ・関連記事本の修復にいそしむ(幸せをくれるテディベア)
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紹介したい本本・雑誌

コメント

ありがとうございます

トラバありがとうございます~♪
私はあまり装丁のことは詳しくないので、かなり勉強になりました。
装丁を気にして本を買うのも、また楽しいですよね☆ちなみに私の好きな装丁家さんは祖父江慎さん(しか知らないのですが)です。

megさん

私も、装丁に興味があるとはいっても、実は知っている装丁家の数はわずかなんです。イラスト系よりは、既存の美術品や絵画、風景写真を使った作品の方が好きです。

フランスの場合

装丁がテーマですね! 今日は。やはり気になりますよね。日本は本にしてもノートにしても(トイレット・ペーパーにいたるまで)フランスと比べると紙がパリっとしていて、ある意味すごいことだなと思います。デザインとしてはやはりセンスのいいものが多い国だなと思います。

新しいカテゴリーにリンクが移動していたのですね。「ヨーロッパの風」という爽やかなタイトルに負けそうですが(笑)、今後ともよろしくお願いいたします。

TBありがとうございました

装丁に関する個人サイトなどもいろいろあって、装丁が好きな人は結構多いようですね。
それらのHPコンテンツを読んでいるといろいろ勉強になって楽しいです。
(こちらでは“ペーパーナイフ”のくだりが、“目からウロコ”でした!)
“いつか”ワタシも装丁についてもう少し研究してみたいです^^

しゃるろっとさん

各国の書籍事情、紙文化って興味深いですよね。日本の本は、単行本と文庫があって、同じ作品でも装丁が異なっているとか、イタリアの伝統的なマーブル模様の紙だとか。

しゃるろっとさんのブログが入っている新しいカテゴリーですが、このタイトル、イケテませんか?「ヨーロッパ」という言葉に何かを+したくて、「風」をくっつけちゃいました。

naturelさん

装丁に対する関心が、私たちのみならず強まっているような気がします。最近電車などで、すてきな皮製のブックカバーを本に付けている方たちを良く目にするようになってきました。これは、ヨーロッパのルリュールに近い感覚で、お気に入りの皮のカバーを付けていらっしゃるのではないかと推測されます。私なんぞは、本屋で付けてくれる紙のカバーで満足していますが。

トラバありがとうございました

「気まぐれ部」へのトラバありがとうございました!

 装丁が美しくて手にとってしまう、ということがあります。確かに。
 使われている紙の手触り、色合い、写真の発色、デザイン。そこまでで気に入ってから最初の1頁を、さらり。
 それで読める! と感じたら衝動買い……なんてことも。
 そういう本は、大切にしたくてカバーをかけてしまいます。でも本当は、そのまま本棚に並べて、色褪せたとしても、それもその本の時間を経た美しさなのかもしれないですね。
 自分にデザインのセンスがあったら、ルリュールのように、好きな作家さんの本を好きな表紙で再度製本し直せるのに、と思うと。ちょっと残念です。
 

youmeさん

美しい装丁の本って、本当に存在感大で、周りの他の本を色あせさせてしまうほどに、そこに、私の視線の先に在るんですよね。その美しさに惹きつけられて手を伸ばす私。

そんな本との出逢いの瞬間。「これは運命?」とさえ思える瞬間です。

TBありがとうございました。

 私たちの世代では栃折久美子さんが『モロッコ革の本』で颯爽とデビューなされたのを記憶しております。あれからもう30年は過ぎているから、いいお年ですね。

中年ゲーマーさん

コメントありがとうございます。栃折久美子さんの『モロッコ革の本』!?あとで勉強しておきます。

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