好きなもの 

i2[1].gif秋の日の ヴィオロンの ため息の…」これは19世紀フランスの詩人ポール・ヴェルレーヌ(Paul Verlaine)の詩の一節ですが、上田敏氏のこの名訳を、毎年秋になると思い出します。

私は「」というものに興味も関心もあまりなく、学生時代、文学少女の友人たちが「萩原朔太郎が好きだ」とか「中原中也のほうが好き」なんてことを話題にしていても「???」で、いったいこんな詩のどこがいいの?しかもこんな昔の人たちの?という感じでしたが、ヴェルレーヌのこの冒頭の1フレーズはとても好きです。その後に続く言葉はすっかり忘れて、また、それを知りたいとも思わず、秋の到来と共に、このフレーズを心の中で繰り返すのです。私にとって大切なのは、詩の本来の意味やヴェルレーヌの気持ちではなく、言葉の美しさと、言葉が醸し出す”秋のおセンチな雰囲気”なのですから。そしてなぜか私のイメージでは、BGMはヴァイオリンではなくチェロ。

batx1.jpg私には、もう一つ好きな詩があります。

てふてふが一匹韃靼海峡(だったんかいきょう)を渡って行った。

」と題する安西冬衛の詩です。韃靼海峡(だったんかいきょう)、つまり間宮海峡を渡っていく一匹の蝶々。この詩はたしか、小学校か中学校の国語の教科書に載っていたもので、その勇ましい蝶々の挿絵も載っていたかと思います。

あの か弱い蝶々が果たして海峡を渡りきれたのか?私は渡れたと思いたい。いや、渡れたはずだ。海峡の先にあるはずの陸地が見えなくても、海に向かって飛び立つ勇気を持ち、必死に羽を動かして、着けないはずがない。


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ひとりごと日記

コメント

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美しい日本語

おおっ、この詩の訳はすごいと前から思ってました。とてもとても原文と違うんですけど、まさに美しい日本語! 古きよき時代ですなぁ。(と、ジイ様になる)
早くも秋の気配ですねぇ。チェロの音いいですねぇ。でも秋は淋しげでわたしは苦手かな。。。
あ、春といえば、わたしはプレヴェールの「五月の唄」という詩が大好きです。

プレヴェール

プレヴェールって、映画「天上桟敷の人々」の脚本や「枯葉」の作詞で知られるジャック・プレヴェールですよね。「天上桟敷の人々」、実は今まで見たこと無くて…。こんどスカパーのムービープラスで放送するようなので見てみようかな。

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こんにちは。

初めてお邪魔します。「地球散歩」の、さらさです。
オルサさんの記事の中で一番、印象的なところにコメントしますね。「詩」久しぶりに日本語の美しさを感じました。現代文の授業を思い出します。「秋の日の」も「てふてふ」もよく覚えているし、好きだな~。私の一番のお気に入りは三好達治の「あはれ はなびら ながれ」で始まる「いしのうへ」です。(「いし」は適する漢字がありませんでした)ご存じですか。また遊びに来ますね。

さらささん

いらっしゃい。
さらささんは、言葉に対する感受性がとても豊かですよね。「地球散歩」を拝見していて、いつもそう思います。

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