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本の修復にいそしむ 

  • [2011/03/07 18:23]
長年使っていた辞書のカバーが外れかかった時に、セロハンテープなどで応急措置をしたり、もっとひどい状態の時には、身近にあった厚紙を皮の表紙の替わりにして糊付けしたことが何度かあります。

母が長年使っている岩波の国語辞書を直す際には、
イタリアの老舗 カルトス社(Kartos)のカードセット(参照画像:楽天市場)
のケースを用いて、カードが入っていた部分に辞書の裏表紙を入れて固定し、辞書の背の部分を糊付けし、表表紙ははずれていたので、本文が始まる前のページをケースのもう一つの側に糊付けしました。

補修だけではなく、本の装丁の真似事も何度かしています。
文庫版の詩集、どうしても表紙のデザインが気に入らなくて、表紙を裏返しにして、美しい装飾のプリントを探しだしてきて切り抜いて貼り付け、凝った字体でタイトルを書き込む。

こんなこともありました。
あるフランス詩人の散文詩を日本語で読みたかったのですが翻訳本は見つからず、せめてさわりの部分だけでもとネットで探したところ、仏文研究者による翻訳のデータが見つかり、詩とは言え、短編小説並みの長さだったため、A4の紙に2ページずつ印刷しました。これを二つ折りにするとホチキスでは留められない厚さだったので糸で綴じ、色つきの紙にワードで作成したタイトルと作者名をプリントアウトして表紙にして、糊付けする。これはまさに製本ごっこ。

そういう私が、アニー・トレメル・ウィルコックス著
古書修復の愉しみ』という本に出逢ったのは、逢うべくして…いうことなのでしょうか。
古書修復の現在出版されているものは新装版。
私は書評の載っていた2004年9月発売の中古本を購入しました。
アメリカの書籍修復家が、なぜこの道に進むことになったのか、そしてどのように技術を身に着けていったのか、自らの体験をつづったノンフィクションです。

そもそも、絵画修復ではなく古書修復という仕事をきちんと取り上げた記事も映像も、
私は今まで目にした記憶が全くありません。

傷んだ本を修復する仕事は当然あるだろうけれど、具体的にどういう作業なのか?それをイメージしたことさえありませんでした。

それは、切れたものを貼り付けるといった私が行っていることの延長線上にあるような、単純な作業ではないのです。

そして、この本の中には、たくさんの発見がありました。

まず、目次の次のページを開くと、本の各部の名称が、図と共に載っています。
これは、この本を訳すために製本の基礎及び実技を1年半近くにわたって学んだという訳者 市川恵里さんが、読者が本の内容を理解しやすいようにとの判断で加えたものです。

「花ぎれ」が何なのか、初めて知りました。

それから、本の修復の際、日本でお馴染みのものが数多く使用されているという事実に驚きました。
また、著者が日本の徒弟制度に興味を示し、日本の職業修行のあり方に感銘を受けているという点にも好感が持てます。この本は、本修復の手法や歴史を説明すると同時に、修復家として日々成長していく著者の成長記録でもあるので、失敗談や師匠と弟子との心温まるエピソードなどがふんだんに盛り込まれ、読み物としてもたいへん楽しめる内容でした。

この本がきっかけとなり、私の製本・装丁への関心がさらに深まり、
新たに『文豪の装丁 (NHK美の壺)』を購入。
文豪の装丁カビの発生しやすい日本では、革装本の文化は育まれなかったものの、江戸時代から続く木版画の技術が装丁に生かされたというのは興味深い。

生誕100周年記念のNHKドラマ「TAROの塔」に登場する岡本太郎の父 岡本一平が装丁を手がけた母 岡本かの子の歌集ほか、夏目漱石の本を中心に装丁がカラーで紹介されているというのは嬉しいです。

いにしえの美しい装丁を紹介した本は、これ以外ではほとんど見つからず、むしろそういった希少本を保有する個人や大学の図書館、古書店のサイトの方が充実しています。

一方、製本に関しては、amazonで[製本]を検索すると、そこそこ出てきます。
中でも『西洋製本図鑑』は、相当内容が充実していそう。ただ、お値段が…。

[追記]本の内容やそのデザインはもちろん、本を手に持った時の感触、ページをめくる時のドキドキ感や紙が擦れる音など、目だけでなく、耳や手で愉しむ読書の醍醐味を今後、何年たっても放棄したいとは思いません。今読んでいる本が読み終わったら、
もうすぐ絶滅するという紙の書物について』を読んでみたいと思います。

[追記2]上記の『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』、昨日から読み始めています。『薔薇の名前』でお馴染みのウンベルト・エーコが述べていた「日本にもあるグーテンベルク聖書(世界初の印刷聖書)」の画像、慶応大のサイトでチェックしました。

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